うのたろうです。
養殖の鮭は年に3回までしか食べられない――そんな話を耳にしたことがありますか?
いったいどういうことなのか?
けっこうだいじなお話しですので、その意味をしっかりとお伝えいたします。
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養殖鮭の問題とは?
先日「Journal of Nutrition誌」に論文が掲載されました。コーネル大学やイリノイ大学、インディアナ大学などによる研究による論文です。
内容は「さまざまな産地の養殖サーモンと天然サーモンの比較」。
具体的にはω-3脂肪酸の含有量と毒性レベル(PCBなどのダイオキシンや塩素系殺虫剤など)を測定し、リスク便益分析をおこなったそうです。ちなみに……
ω-3脂肪酸(オメガ3脂肪酸)とは?
人間が体内でつくることができない必須脂肪酸で、ダイエットや血液をサラサラにさせるなどのさまざまな面において効果を発揮する、いわゆる「良い」物質。
対してPCBなどのダイオキシンや塩素系殺虫剤などはいわずと知れた「悪い」物質です。
コーネル大学やイリノイ大学、インディアナ大学などによる研究の結果
養殖サーモンは天然サーモンよりω-3脂肪酸の量が多い。つまり一方では健康に良いという側面があるということ。
しかし同時に養殖鮭は毒性レベルも高く、汚染物質の量はなんと天然鮭の10倍程度にもなるそうです。これはω-3脂肪酸の含有量を相殺してもありあまるほどに高い毒性レベルだといえます。
この結果を見た研究者たちは養殖鮭と天然鮭の年間摂取回数に関するアドバイスをしています。具体的には以下の通りです。
鮭の年間摂取回数の上限は?
養殖サーモンについての年間上限
・スコットランド、ノルウェー、カナダ東岸産……年3回(3食)以下
・メイン州、ワシントン州およびカナダ西岸……年3~6回
・チリ産……年6回程度
天然鮭についての年間上限
・天然のシロザケ(日本で一般に「サケ」と呼ばれる種)……週1回
・ベニザケ、ギンザケ……月2回程度
・キングサーモン(マスノスケ)……月1回弱
養殖サーモンも天然鮭も上記の回数を上限にすれば食べても安全だといえるようです。では……
養殖サーモンと天然鮭の判別方法は?
日本では生鮮魚介類が養殖である場合には「養殖」の表示が義務づけられていますが、表示以外にも簡単な判別方法をお知らせします。
①アトランティックサーモン(大西洋サケ)はすべて養殖と考えてよい
理由は大西洋には商業的に成立するほどの数の野生の鮭が存在しないからです。そのためアトランティックサーモンとして販売されているものはすべて養殖だと考えてOKなのです。
②アラスカンサーモンはすべて天然
理由はアラスカではサーモンの養殖が禁止されているからです。なのでアラスカ産の鮭は天然だという証拠になります。もし「アラスカ産」として養殖サーモンが販売されているのなら、それは天然・養殖というよりも産地偽装を疑ったほうが良いでしょう。ちなみに……
③加工食品の場合は?
加工食品の場合は「養殖」の表示義務はありません。しかし天然であることは商品のアピールポイントになります。
したがって日本のスーパーでは天然ものならばほぼかならず「天然」という表記をするはずです。
なので加工食品の場合「天然」と書いてある鮭は天然。逆になにも表記がないという場合は養殖だということが判断できます。ちなみに……
④お寿司屋さんのサーモンは?
あれは鱒(マス)です。鮭じゃありません。またスーパーなどでサーモントラウトと書いてあるものも全部マスです。似て非なるものというよりイコールノットといった感じです。
まとめ
安い食品にはそれなりのリスクがあるようです。しかしながら天然の鮭にはアニサキスという寄生虫がいるため生で食べることはほぼ不可能です。そんなことをしようものなら十中八九の割合で「劇症肝炎」のリスクを負うことにもなります。
天然・養殖のどちらが良い悪いというわけではなく、こういったことを踏まえてひとりひとりが食の安全を意識していくことが大切なのかもしれませんね。
うのたろうでした