うのたろうです。
本日、ことわざのお話しです。
まず隗(かい)より始めよ
この言葉、きいたことがありませんか?
もとは漢文なのですが、じつはけっこう誤用されていたりします。正しい使い方はいったいどういうものなのでしょうか? わかりやすい物語風の解説とともに見ていきましょう。
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「まず隗(かい)より始めよ」のよくきく誤用は?
まず隗より始めよという言葉は近年「いいだしっぺからやれ」というような意味に誤用されています。ですが、これはまったくの間違い。ただしいつかい方と意味はどんなものなのでしょうか?
「まず隗(かい)より始めよ」の由来とは?
1.由来は中国の故事
時代はBC(紀元前)4世紀ころ。当時、中国は戦国時代のまっただなかにありました。
場所は中国北東部にある「燕」という国。とても小さな王国です。その国には郭隗(かくかい)という学者がいました。「まず隗より始めよ」の「隗」はこの人物の名に由来します。
2.人物の名の由来とはどういうこと?
「燕」という小国は、南にある大国「斉」に攻められ一度滅亡してしまいます。それを燕の国王はなんとか立てなおし、大国・斉をおなじめに目にあわせよう――そんなふうに考えます。
しかし。
そのためにはどうすればいいのか?
燕の国王は考えます。争いに勝つしかない。そう考えるのは自然な流れです。
では、どうやって?
燕の国王は斉に勝つためいい将軍や軍師が欲しいと思い、どうすればいいのかを郭隗に相談しました。
3.すると……
郭隗は「まず隗(郭隗自身)より始めよ」といったのです。
この言葉は文字通り「私を雇いなさい、そして重用しなさい」という意味です。自分を名前で呼ぶあたり、ちょっぴりアレな感じがつたわってきますよね。ぼくだったら「うのね~」みたいな。
しかし、郭隗はアホではありません。
なぜなら、この言葉の意味はそれだけではありませんでした。
4.郭隗の真意は?
郭隗はつまり、こういうことをいいたかったのです。
「郭隗のようなつまらない人間でも国が重用するのなら、それを知った全国の本当に優秀な将軍や軍師たちが『郭隗より優秀な自分はもっと良い待遇で用いられるはずだ』と考え、雇ってくれといって燕の国に殺到するでしょう」
こういったことを暗に意味していたのです。つまり「ぼくちゃんを雇えよ~」というようなアホ発言ではなく、とても謙虚ないいかただったというわけですね。
5.その言葉をきいて……
燕王は郭隗の言を受け入れました。すると本当に全国の名士が集まりました。郭隗のいった通りの事態になったというわけです。
6.その結果……
やがて燕には戦国時代最強の将軍名将「楽毅(がくき)」までがやってきます。こいつはマジで強い! 燕の国はぐんぐんと力を増していきます。そして、燕王の念願通り、郭隗の言葉の通り、ついに小国・燕は大国・斉を破るに至ったのです。
つまり……
「まず隗から始めよ」の正しい意味は?
大きなことをなすには小さいことから始めよ――
という意味だということです。 たとえば……
「まず隗から始めよ」の正しい使い方と例文
たとえば、ある漫画家が日程的にハードな注文をしてきた出版社にむかった愚痴をこぼしていることが話題になっています。それを見た一般の人たちは「駆けだしの漫画化はしょせん出版社の奴隷だからね。人権などない」のような冷めた言葉を発していました。それを見た誰かがいいました。
「おまえら読者のそういう態度が今の漫画の質の低下を招いているのわからんのか?」
たしかに、その漫画家の味方になれとはいわなくても、彼に愚痴くらいは気持よくいわせてあげたほうが良いのかもしれません。
漫画の世界も人気作家だけ残っていればそれでいい。一般の人たちはそう思ってるかもしれないですけど本来それではいけないんでしょうね。
「先ず隗より始めよ」ってことわざもあるように「天下を取らない奴には人権が無い」なんて世界じゃ衰退の一歩をたどっていくだけです。それでは大国・斉を打ち破れません。
もしそんな世界になってしまったら、漫画の世界でしたら、みんな同人誌に逃げてしまったりするのかもしれませんね。
まとめ
これが「まず隗より始めよ」の由来の流れです。
これでもぼく、小説書いていたりします。街の底で。泥をすすりながら。才能はないので、アホほど頭を使っておもしろい物語を書いております。
小説「4ぶんの1の風のきせき」
まず隗より始めよ――どうですか?
街の底のうのたろうなんていう物書きを登用してみては?
きっと「自分のほうが才能がある」というかたが殺到して、今の出版不況の現状を打破できるかもしれませんよ?
ご連絡お待ちしております。
なんちゃって。わりとマジです。
うのたろうでした。